患者さんは待ってくれない
【本編1】で、リハビリの業界は、脳卒中片麻痺の治療において正解は示していないが、方向性は示している、ということを書きました。
【本編1】リハビリ編集室:臨床にこだわるセラピストのためのブログ
ただ、方向性はある程度理解できたとしても、実際の臨床で、目の前にいる患者さんの治療ができなければ意味がありません。目の前の患者さんは、セラピストの技術・知識の向上を待ってはくれません。
”ただ立たせて歩かせることしかできません”、”ボバースのハンドリングがまだできません”、”認知運動療法のスポンジだけで治療してみます”、では、間に合わないのです。患者さんは日々変化していってしまうからです。
まず、目の前にいる患者さんを治療していかなければならないのです。そのために、脳卒中片麻痺の治療の本質(=エッセンス)をつかむ必要があります。
その片麻痺の治療の本質をつかむには、数ある治療方法の本質を掴んで繋ぎ合わせていくことが大切になります。これが本当の意味での、”いいとこ取り”だと思います。そして、そのために必要な考え方が”編集”という考え方です。
リハビリにおける”編集”とは何か?
”リハビリ”と”編集”はあまり関係がないように感じます。特に臨床で働く人にとっては、あまり必要のない言葉のように感じます。本来は、本や動画に使われる言葉です。
しかし、私は臨床にいる人こそ、”編集する力”が必要だと思います。私が言う”編集”とは、多くの情報の中から重要な部分を取り出して、その中でも優先順位をつけたりして、一つのものをまとめあげることです。
つまり、臨床でいうと、課題指向型アプローチ(長下肢装具やCI療法)やボバースや認知運動療法の本質を抜き取って、目の前にいる患者さんに治療として適用していくということです。そうすることによって、治療の”質”が上がります。
臨床では”編集する力”が必要
患者さんの治療効果は、”質 × 量 × 知識”が必要であると、【本論2】で説明しました。
【本編2】リハビリの治療の効果に必要なことは?:質 × 量 × 知識
持っている知識や学んだ知識を臨床の治療の質に生かしていく、つまり、患者さんの治療に生かしていくには”編集する能力”が絶対的に必要です。
課題指向型アプローチ(長下肢装具)やボバースや認知運動療法の知識や技術を、実際の臨床にそのまま持ち込むことはもちろん可能ですが、うまくいかないことも多いと思います。それは、脳卒中片麻痺の患者さんの症状は様々だからです。1つの考え方だけで治療しようとする方が難しいのです。
症状を多面的に理解し、治療も多面的にアプローチしていくことによって、本当の意味での治療の”質”が向上します。
そのためには、繰り返しになりますが、治療法の本質を抜き出して、患者さんに合わせて適用していくこと、つまり”編集する能力”が必要になってきます。私は、臨床経験を通じてそう強く思います。そのため、このブログの名前も”リハビリ編集室”にしたのです。
それでは、次回は、片麻痺の治療の”質”について考えていきたいと思います。
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