【本編14】課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法を両立させるには?

 

 課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法の3つに対して、2つずつ比較してきました。最後に、そこから浮かび上がってきたエッセンス(=本質)をまとめていきたいと思います。

 【本編11】課題指向型アプローチ(長下肢装具)とボバースを両立させるには?

 【本編12】ボバースと認知運動療法を両立させるには?

 【本編13】認知運動療法と課題指向型アプローチ(長下肢装具)を両立させるには?

 3つのアプローチから見えてきたものは何か?

 3つのアプローチを比較しながら見えてきたこと、つまり、”片麻痺の治療をする上で必要な考え方”は、大きく3つあります。

 ①”機能訓練と能力訓練”の関係

 ②”上下肢機能と体幹機能”の関係

 ③運動学習(”意識的か、無意識的か”の関係)

 についてです。片麻痺の治療をするときに、これらを曖昧にしてしまうと、本質が見えにくくなります。これらの関係については、はっきりと、明確な指針で示さなければならないでしょう。

 逆に言えば、この3つの関係性を理解して、治療をすることができれば、正しく治療を進めることができます。では、この3つにポイントについて考えていきます。

 3つのポイントをまとめる

 課題指向型アプローチ(長下肢装具)とボバースと認知運動療法で、3つのポイントをまとめると、以下のようになります。

 ・課題指向型アプローチ

  :機能訓練 ×、能力訓練◎/上下肢機能 ×、体幹機能◯/意識的学習△、無意識的学習◎ 

 ・ボバース

  :機能訓練 ◯、能力訓練◯/上下肢機能 △、体幹機能◎/意識的学習 ×、無意識的学習◎

  ・認知運動療法

  :機能訓練 ◎、能力訓練△/上下肢機能 ◎、体幹機能◎/意識的学習◎、無意識的学習△

 3つのポイントで分けてみることで、それぞれのアプローチがどこに特化しているのかが分かりやすくなります。

 臨床から言えること

 3つのポイントを、臨床的な視点でいうと、”可能であれば、すべて◎にする必要がある”、ということです。ただ、手続きや順番が大切であることも確かです。今後の【本編】では、治療方針として、3つのポイントをどう考えたらいいかを書いていきます。

 あと、私の臨床経験から言えることは、治療の根幹は、”適切な課題設定だ”と思います。それは、患者さんにとって適切な課題です。難しすぎても、易し過ぎてもいけない。リハビリを、”学習”という視点で考えることが本当に大切です。

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