課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法の3つに対して、2つずつ比較してきました。最後に、そこから浮かび上がってきた”エッセンス(=本質)”をまとめていきたいと思います。
【本編11】課題指向型アプローチ(長下肢装具)とボバースを両立させるには?
【本編13】認知運動療法と課題指向型アプローチ(長下肢装具)を両立させるには?
3つのアプローチから見えてきたものは何か?
3つのアプローチを比較しながら見えてきたこと、つまり、”片麻痺の治療をする上で必要な考え方”は、大きく3つあります。
①”機能訓練と能力訓練”の関係
②”上下肢機能と体幹機能”の関係
③運動学習(”意識的か、無意識的か”の関係)
についてです。片麻痺の治療をするときに、これらを曖昧にしてしまうと、本質が見えにくくなります。これらの関係については、はっきりと、明確な指針で示さなければならないでしょう。
逆に言えば、この3つの関係性を理解して、治療をすることができれば、正しく治療を進めることができます。では、この3つにポイントについて考えていきます。
3つのポイントをまとめる
課題指向型アプローチ(長下肢装具)とボバースと認知運動療法で、3つのポイントをまとめると、以下のようになります。
・課題指向型アプローチ
:機能訓練 ×、能力訓練◎/上下肢機能 ×、体幹機能◯/意識的学習△、無意識的学習◎
・ボバース
:機能訓練 ◯、能力訓練◯/上下肢機能 △、体幹機能◎/意識的学習 ×、無意識的学習◎
・認知運動療法
:機能訓練 ◎、能力訓練△/上下肢機能 ◎、体幹機能◎/意識的学習◎、無意識的学習△
3つのポイントで分けてみることで、それぞれのアプローチがどこに特化しているのかが分かりやすくなります。
臨床から言えること
3つのポイントを、臨床的な視点でいうと、”可能であれば、すべて◎にする必要がある”、ということです。ただ、手続きや順番が大切であることも確かです。今後の【本編】では、治療方針として、3つのポイントをどう考えたらいいかを書いていきます。
あと、私の臨床経験から言えることは、治療の根幹は、”適切な課題設定だ”と思います。それは、患者さんにとって適切な課題です。難しすぎても、易し過ぎてもいけない。リハビリを、”学習”という視点で考えることが本当に大切です。
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