【本編5~7】の問題点のまとめ
前回の【本編8】において、課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法の3つのアプローチにおける、”本質”について書きました。
【本編8】課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法の本質のまとめ
今回は、【本編5~7】で書いた3つのアプローチにおける”問題点”について、まとめていきます。
【本編5】課題指向型アプローチ(長下肢装具)を臨床から考える
【本編7】認知運動療法(現:認知神経リハビリテーション)を臨床から考える
3つのアプローチの問題点をまとめてみると、
・課題指向型アプローチ:”麻痺側への関わりの少なさ”
・ボバース:”セラピストの手から離れても効果は持続しているのか?、患者は学習しているのか?”
・認知運動療法:”(治療が)難しすぎる”
と書いていました。各アプローチを学んだ人であれば、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。問題点をより正確に理解するために、ここをもう少し掘り下げます。
問題点は、良い点と表裏一体
アプローチの問題点を考える時に、なぜその問題点が生じてくるか?を考えると、全体としての理解がしやすいです。何が言いたいかというと、問題点というネガティブな面というのは、良い点というポジティブな面との表裏一体の関係だ、ということです。
つまり、そのアプローチの問題点は、良い点(=特化している点)の裏返し、ということです。なので、問題点と良い点(=特化している点)という視点で比べてみると、
・課題指向型アプローチ:麻痺側機能訓練よりも、動作訓練に特化
・ボバース:末梢部の機能訓練よりも、中枢部の機能訓練に特化
・認知運動療法:治療よりも、理論に特化
となります。もちろん、各々のアプローチでも、特化している点以外は全く考慮されていないという訳ではないと思いますが、大きく分けて考えると上記のようになります。
前回は、3つのアプローチの本質のまとめとして、
・課題指向型アプローチ:視覚的に正しい。つまり、正しく動作できる。
・ボバース:体性感覚的に正しい。つまり、正しい筋の反応がある。
・認知運動療法:言語的に正しい。つまり、正しい患者さんの言葉が出る。
と書きましたが、切り口は違いますが、3つのアプローチを理解するためには、3つのアプローチ自体を比較することだけでなく、各々のアプローチの問題点と良い点を比較することも大切です。
3つのアプローチで全体を網羅する
私は、”極端”な3つのアプローチを理解することで、片麻痺の治療法としては、全体をほぼ覆うことができる、と考えています。
各々のアプローチは、極端だからこそ、治療効果を出し、セラピストを惹きつけることができているのです。逆に、これが、なんでもOKの平均的なアプローチであれば、何も注目されず、何も生み出さないはずです。
この極端な3つのアプローチをまとめるのは、非常に大変な”編集作業”と言えます。なので、まずは2つずつ比較していき、最後に3つを比較してまとめていくことが流れとしては分かりやすいでしょう。
今後は、2つずつを比較していきたいと思います。
・課題指向型アプローチとボバース
・ボバースと認知運動療法
・認知運動療法と課題指向型アプローチ
何度も言いますが、3つのアプローチの本質を掛け合わせれば、臨床で片麻痺の治療の質を上げていくことができます。少しづつ理解を深めていきましょう。
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