【本編5~7】の本質のまとめ
【本編5~7】において、課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法の3つのアプローチについて、臨床からの視点で書きました。
【本編5】課題指向型アプローチ(長下肢装具)を臨床から考える
【本編7】認知運動療法(現:認知神経リハビリテーション)を臨床から考える
3つのアプローチの本質をまとめてみると、
・課題指向型アプローチ:”その患者さんに必要なADL訓練を繰り返し行うこと。もしくは、必要な動作を分解して(=相分けして)訓練すること”
・ボバース:”患者さんを丁寧に触れ、丁寧に動かす。筋肉の反応を大事に感じ取る”
・認知運動療法:”患者さんの内面に着目し、入力される情報をしっかり考えて治療する”
になります。臨床のセラピストであれば、どれも大事だと思うはずです。ただ、本質を理解するために、ここをもう少し掘り下げます。
3つのアプローチの本質をカテゴリーに分ける
では、3つのアプローチの”良い結果”というのは何でしょうか?つまり、何を”良い結果”として捉えるのでしょうか?
・課題指向型アプローチ:”ADLが良くなること”
・ボバース:”筋肉の反応が良くなること”
・認知運動療法:”身体の認識が良くなること”
これらを、かなりざっくりとした言葉(=抽象的な表現)で置き換えると、
・課題指向型アプローチ:見た感じが良くなる。 →視覚的
・ボバース:触った感じが良くなる。 →体性感覚的
・認知運動療法:身体に対する言葉がより詳細になる。 →言語的
というように、3つのアプローチが何を治療の”良い結果”としてみているか、が分かります。もちろん、3つのアプローチとも、これらだけを見ている訳ではないことは分かっています。ただ、どこに特徴があるか、どこが尖った要素か、という視点で理解していただきたいです。
3つのアプローチは”極端”である
”3つのアプローチがなぜ脳卒中片麻痺の治療法の代表例なのか?”というと、それぞれ3つとも”極端”なところを持っているからです。ある尖った部分を研いでいった結果として”極端”になり、丸くならなかったのです。その尖った部分が本質になります。
3つのアプローチの本質をまとめると、
・課題指向型アプローチ:視覚的に正しい。つまり、正しく動作できる。
・ボバース:体性感覚的に正しい。つまり、正しい筋の反応がある。
・認知運動療法:言語的に正しい。つまり、正しい患者さんの言葉が出る。
となります。果たして、これらの3つのアプローチを、【本編4】で書いたように、
”課題指向型アプローチの本質 × ボバースの本質 × 認知運動療法の本質”
のようなことができるのでしょうか?
私は、3つのアプローチを掛け合わせることはできると思います。臨床を長く経験してきて強く思います。視覚的にも、体性感覚的にも、言語的にも正しくすることができればいいわけです。3つのアプローチ掛け合わせることで、全体をほぼ網羅することができます。
今回は3つのアプローチの本質について書きましたが、次回は、【本編5~7】の問題点についてもまとめていきます。
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