【本編5-2】課題指向型アプローチの補足:脳卒中ガイドライン

 

 前回の【本編5】にて、脳卒中ガイドラインについて話しました。脳卒中ガイドラインとは、脳卒中の治療方法をエビデンス(=根拠)によって示したものです。

     本編5】課題指向型アプローチ(長下肢装具)を臨床から考える

 この脳卒中治療ガイドラインによって、現在のリハビリの流れは、課題指向的な介入方法、具体的には長下肢装具による歩行や課題指向的なADL訓練といった治療方法が一般的になっており、発症早期から歩行をさせ、積極的にADL訓練を行っていく、と【本編1】で書きました。

  本編1】リハビリ編集室:臨床にこだわるセラピストのためのブログ

 今回は【本編5-2】とし、前回の補足として、課題指向型アプローチが、脳卒中ガイドラインに実際にどのように記載されているかについて考えていきます。

下肢機能や日常生活動作(ADL)に関しては、課題を繰り返す課題反復訓練が勧められる(グレードB)

出典元:脳卒中治療ガイドライン2015(2-1運動障害・ADLに対するリハビリテーション)

と書いてあります。また、上肢については 

麻痺が軽度から中等度の患者に対して、特定の動作の反復を伴った訓練(麻痺側上肢のリーチ運動、目的志向型運動、両上肢の繰り返し運動、mirror therapy、促通反復療法など)を行うことが勧められる(グレードB) 

出典元:脳卒中治療ガイドライン2015(2-3上肢機能障害に対するリハビリテーション)

”グレードB”の意味が分からないと思いますので、グレートについては、

A :行うよう強く勧められる

B :行うよう勧められる

C1 :行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない

C2 :科学的根拠がないので、勧められない

D :行わないよう勧められる

出典元:脳卒中治療ガイドライン2015

行うように勧められるのは、AとBのみです。

 エビデンスは非常に重要だと思います。エビデンスがないことをずっとリハビリの治療として行うことは意味がなく、患者さんの不利益になってしまいます。

 ただ、エビデンスではっきりとしていることは、治療全体の一部のため、1つ1つの治療に対してエビデンスを確認することはできません。なので、セラピストは、自分の治療に悩んでしまい、エビデンスが示されたことを頼りに、そればかり強調してしまうことになってしまっているようです。

 次回の【本編6】は、ボバースに対する臨床的な考察をしたいと思います。

コメント