【本編25の補足】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【上肢機能】②

 臥位の機能訓練は、臥位の動作のためだけではない

 前回、臥位での上肢の機能訓練について、”実際の動作のときに、より上手く使えるようになる”、または、”実際の動作の時に、より麻痺肢を参加させる”という目的で行うと書きました。

 【本編25】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【上肢機能】

 そのため、臥位で行う実際の動作から考えていくと、”手をどこに置くか、どこに触れようとするか”、といった動作を想定して機能訓練を行うことになります。

 このように、臥位なら臥位、座位なら座位、立位なら立位と、各姿勢で行う動作をよりスムーズに行えるように各姿勢で機能訓練をすることは、基本的な発想ですが、実際はそれだけでは不十分です。

 【本編24の補足】の下肢でも書きましたが、より先を見て、次の姿勢で行う動きを想定する必要性もあります。臥位の機能訓練は、臥位の動作のためだけでなく、座位や立位での動作も想定します。

 【本編24の補足】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【下肢機能】

 上肢の場合は、臥位だけでなく、座位や立位においても”手をどこに置くか、どこに触れようとするか”、つまり、”手をどこに保持しておくか、、手をどのように使うか”といった目的を中心に考えると、次の姿勢の動作につながっていきます。

 

 ”つながり”を意識して、座位や立位での動作を想定する

 このように、次の姿勢の動作への”つながり”を意識することが大切です。実際の動作に対する”つながり”を意識して機能訓練をする、ということです。

 臥位の機能訓練の場合、”臥位で手をどこに置くか、どこに触れようとするかを想定しながら臥位の機能訓練を行う”のと同時に、”座位や立位・歩行等の動作を想定しながら臥位の機能訓練を行います”。

 つまり、”機能訓練→実際の動作”の発想を、次の2つの考え方を含めて考える必要があります。

 ・臥位での機能訓練→臥位での動作

 ・臥位での機能訓練→座位や立位での動作

 学習という視点でも、”優しい動作から難しい動作へ:臥位→座位→立位へ”とつながっていきますので、セラピストは今のことだけでなく先のことも想定して訓練します。逆に言えば、先のことへのつながりを意識さえしていれば、難しいことから行う必要はないとも言えます。

 今のリハビリの時代の流れは、実際の動作を行うことで動作の安定を図ることに傾きがちですが、次の動作を想定して機能訓練することによって、実際の動作をスムーズに行うことができるのです。

 

 先を想定した臥位機能訓練の具体例

 臥位での上肢の機能訓練で、具体的には、以下のものがあります。機能訓練内容は前回【本編25】で書いたものと同様ですが、何を想定しているかが異なります。

 【本編25】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【下肢機能】

 

○”座位”で手をどこに置くか、どのように使うかを想定した機能訓練

・手掌部が胸部から(=身体から)離れるような肩関節外旋運動

・手指が天井方向へ向いた状態(内外旋中間位)での肩関節屈伸運動

・胸部から口元への肩・肘関節屈伸運動

 

○”立位”で上肢を伸展位にし、動作時も保持し続けることを想定した機能訓練

・腹部と麻痺側殿部(側面)との肘関節屈伸運動

・殿部とベッド面との肘関節屈伸運動

・手掌面をベッド面に向けた状態での、肘伸展位での肩関節外転運動

・手掌部を身体面に向けた状態での、肘伸展位での肩関節屈曲運動

 

 まとめ

 臥位での機能訓練は、臥位での動作だけでなく、座位や立位での動作を意識して行う側面もあります。常に先を見通しながら訓練を進める必要があります。

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