目次
実際の動作で使う下肢の動きから機能訓練を考える
治療の中での ”麻痺肢をどのように触れて、どのように動かすか”といった基本的な流れは、【本編21】で書いた流れで行います。
【本編21】セラピストは、片麻痺をどのように触れ、どのように動かすか?
また、治療の目的は、【本編20】で書いたように、”随意性の向上と痙性のコントロール”です。
【本編20】片麻痺リハビリの治療の”質”とは?:実際の臨床で何を目的にリハビリしていくか?
では、まず”下肢の機能訓練で何を行うか”について確認しておきます。”下肢の機能訓練は、実際の動作のときに、より上手く使えるようになるため”に行います。または、”実際の動作の時に、より麻痺肢を参加させるため”とも言えます。
そのため、実際の動作の時に使う動きを、機能訓練として行う必要があります。つまり、実際の動作のための機能訓練ということです。
股関節は球関節で、下肢の動きは無数にありますが、実際の動作を想定することで、動きを限局することができます。
では、臥位での実際の動作はどのような動作かというと、”臥位での下肢の屈伸”、そして、”寝返りの際の下肢屈曲位での体幹回旋”、”起き上がりの際の下肢伸展位での下肢の内外転”です。
臥位での具体的な機能訓練:下肢屈曲位と伸展位での運動
実際の動作を想定した時に、下肢の運動は、屈曲位の運動と伸展位の運動に分けることができます。具体的にはどのような機能訓練になるかというと、以下のように分けることができます。
下肢屈曲位での運動
・膝屈曲位での股関節内外旋(外旋と内旋と内外旋)
・膝屈曲位からの下肢屈曲・伸展
・膝軽度屈曲位からの膝関節完全伸展
下肢伸展位での運動
・下肢伸展位からの股関節内外転(外転と内転と内外転)
・下肢伸展位からの股関節屈曲
・下肢伸展位挙上位からの股関節伸展
先ほど、股関節の無数の動きを、実際の運動で限局すると言いましたが、結果として、全ての股関節の動きを使うことになります。
機能訓練は、他動的な運動と自動的な運動で行う
機能訓練は、他動運動ー自動介助運動ー自動運動(ー抵抗運動)の順で行いますが、基本的には、痙性コントロールを目的とした”他動的な運動”と、随意性向上を目的とした”自動的な運動”、の2つに分けることができます。
患者さんが今行う運動の感覚を知ることがまず必要なので、まず”他動的な運動”から始め、”自動的な運動”に移行するのがよいです。また、学習のため、回数を重ねる必要があります。
実際の臥位での下肢機能訓練としては、上記の具体的な運動を”他動的な運動”と”自動的な運動”で、繰り返し行っていくことになります。
(また、より先を見て考えると、座位や立位・歩行での動作も想定しておきます。例えば、下肢伸展位での股関節屈曲位からの伸展抵抗運動、下肢伸展位での股関節の外転抵抗運動などです。この場合は、抵抗運動が必要になることがあります。)
最終的には実際の動作で確認する
機能訓練後は、実際の動作で麻痺側下肢が上手く使えているか、上手く参加できているかを確認する必要があります。
実際に、”臥位での下肢屈伸動作”、”寝返り動作”、”起き上がり動作”を行ってもらいます。また、動作を繰り返し行う中で定着させることも必要になるでしょう。
実際の動作のための機能訓練ですが、機能訓練で終わらないように、機能訓練後に実際の動作を確認し、動作訓練を行っていきます。
まとめ
機能訓練は、実際の動作から考えて行います。臥位での運動は、寝返り・起き上がりの時の動きです。そして、機能訓練は、痙性コントロールと随意性向上を目的に、他動的な運動と自動的な運動を行い、回数を重ねることで学習させます。
最後に、実際の動作を行って、どの程度麻痺側下肢が上手く使えているかを確認します。
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