脳画像は、運動機能、感覚機能、高次脳機能の3つに分けて見る
前回の【本編22】、前々回の【本編22の補足】では、片麻痺のリハビリの評価として、運動機能、感覚機能、高次脳機能の3つに分けて考えることが大切だと書きました。
【本編22の補足】片麻痺リハビリの評価:運動機能、感覚機能、高次脳機能の3つをどのように考えるか?
脳画像においても同じです。脳画像も、”運動機能、感覚機能、高次脳機能の3つ”に分けて見ます。脳画像上の多くの情報を、3つの機能に分けて、頭を整理しながら見ることによって、適切な評価が可能になります。
脳画像を、より正確に、より詳細に見ることは、確かに大切です。しかし、それよりも、臨床の評価とリンクしていて、脳画像の評価が、実際の臨床症状の評価につながり、さらには、実際のリハビリの治療につながることがもっと大切です。
そのために、運動機能、感覚機能、高次脳機能という3つのカテゴリーに分けて見ていきます。
脳画像で見る場所:臨床症状との一致はどうか
簡単な知識の整理からしていきます。脳は、”機能を持つ部位”と”機能間をつなぐ連絡線維”の2つに大きく分けることができます。運動機能、感覚機能、高次脳機能の各機能をみるためには、この2つを損傷しているかを確認する必要があります。
3つの機能を、”機能を持つ部位”と”機能間をつなぐ連絡線維”、に分けてみると、以下のようになります。
・運動機能:運動野~錐体路
・感覚機能:感覚野~感覚線維
・高次脳機能:前頭前野~上縦束~角回・縁上回
脳画像において、運動機能、感覚機能、高次脳機能を確認する場合、上記部位を確認することで、大まかな臨床症状を推測することが可能となります。
そして、脳画像を確認した後に実際の患者さんの臨床症状を確認したり、逆に、実際に臨床症状を確認した後に脳画像を確認することで、患者さんの適切な評価ができます。
”脳画像所見と臨床症状が一致しているかどうか”、を確認することが、脳画像を見る目的の1つになります。
脳画像で考える点:各機能の予後予測、総合的な予後予測はどうか
次の目的としては、脳画像を見ることで、”予後予測をする”ということです。臨床症状として起きている運動麻痺・感覚低下・高次脳機能障害が、”回復する可能性があるのか”を脳画像で判断します。
それらの機能低下は、”直接的な損傷によるものなのか、出血や浮腫による圧排によるものなのか、血流量低下によるもの(ペナンブラ領域)なのか、機能解離によるものなのか”を、脳画像によって可能な範囲で判断し、予後予測をします。
予後予測がわかることによって、退院時の見通しや下肢装具の作成の有無などを、ある程度推測しながら進めることができます。
また、そのためには、運動機能、感覚機能、高次脳機能の”3つの各機能ごとの予後予測”をするだけでなく、まとめて考える意味で、3つの機能の予後予測から”総合的な予後予測”をすることが重要です。【本編22の補足】と同様の考え方です。
【本編22の補足】片麻痺リハビリの3つの評価:運動機能、感覚機能、高次脳機能をどのように考えるか?
脳画像を見ることで、どこが損傷しているかだけで終わりにせずに、”臨床症状との一致”を確認し、今の臨床症状だけでなく”各機能の予後予測”もし、最終的には、”各機能を含めた総合的な予後予測をする”ことまで考えます。
まとめ
脳画像を見る際は、運動機能、感覚機能、高次脳機能の3つのカテゴリーに分けてみます。そして、①3つの機能の脳画像所見と臨床症状が一致しているかを確認し、②脳画像から3つの各機能の予後予測をし、最後には、③3つの機能の予後予測をもとに総合的な予後予測をします。
3つの機能に対して、3つのステップを踏んで脳画像を確認します。
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