【本編15】片麻痺のリハビリの質を上げるための基本方針

 片麻痺のリハビリの基本方針は”3つの関係”

 前回の【本編14】でも書いたように、リハビリにおける片麻痺の治療方法は、明確に区別されなければならないことが曖昧にされています。

 【本編14】課題指向型アプローチ、ボバース、認知運動療法を両立させるには?

 セラピストが片麻痺の患者さんを良くするためには、明確に区別して考えなければならない点があります。それは3つあります。

 ①機能と能力の関係

 ②上下肢と体幹の関係

 ③意識的学習と無意識的学習の関係

 これらの”3つの関係”が片麻痺のリハビリの基本方針になります。この3つにすべてのエッセンスが集約しています。私が臨床で経験する中で、抽出に抽出を重ねて出てきたものです。

 ”3つの関係”を明確に分ける

 3つの関係をどのように考えるか、明確に示しておきます。

 

 ①機能と能力の関係 

 →機能を上げることによって、能力が上がります。なので、麻痺側の機能を上げる治療をする必要があります。

 ②上下肢と体幹の関係

 →まず上肢と下肢と体幹の3つの機能を分けて治療をする必要があります。そして、上下肢と体幹は回復する速度が違うので、上下肢と体幹の予後予測を分けて考える必要があります。

 ③意識的学習と無意識的学習の関係

 →ここの説明は伝えるのが難しいところですが、身体に関して言うと、意識的に学習している部分と無意識的に学習してしまう部分があります。

 →つまり、随意的な運動の学習と姿勢制御の学習とに分けられる、と言えます。治療中は、2つに気を配る必要があります。

 今回のまとめ

 まとめると、片麻痺の本質的な治療は、”麻痺側の機能を上げることであり、麻痺側の上下肢と体幹の機能を上げることであり、随意的な運動と姿勢制御を全体的にコントロールすることである”、と言えます。

 3つの関係の詳細は、これからの【本編】で書いていきます。まずは、3つの関係を明確に分けて考えることが、片麻痺の治療の第一歩です。

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