【本編24の補足】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【下肢機能】②

 臥位の機能訓練は、臥位の動作のためだけではない

 前回、臥位での下肢の機能訓練について、”実際の動作のときに、より上手く使えるようになる”、または、”実際の動作の時に、より麻痺肢を参加させる”という目的で行うと書きました。

 【本編24】片麻痺リハビリの治療はどうするか?:臥位【下肢機能】

 そのため、臥位で行う実際の動作から考えていくと、”寝返り動作”、”起き上がり動作”、といった動作を想定して機能訓練を行うことになります。

 このように、臥位なら臥位、座位なら座位、立位なら立位と、各姿勢で行う動作をよりスムーズに行えるように各姿勢で機能訓練をすることは、基本的な発想ですが、実際はそれだけでは不十分です。

 前回も少し書きましたが、より先を見て、次の姿勢で行う動きを想定する必要性もあります。臥位の機能訓練は、臥位の動作のためだけでなく、座位や立位での動作も想定します。

 例えば、次の姿勢の動作につながる臥位での訓練として、”股関節伸展”があります。臥位での股関節伸展の抵抗運動は、歩行や階段昇降の動作につながります。

 

 ”つながり”を意識して、座位や立位での動作を想定する

 この”つながり”を意識することが大切です。つまり、実際の動作に対する”つながり”を意識して機能訓練をすること、です。

 臥位の機能訓練の場合、”寝返りや起き上がりの動作を想定しながら臥位の機能訓練を行う”のと同時に、”歩行や階段の動作を想定しながら臥位の機能訓練を行います”。

 つまり、”機能訓練→実際の動作”の発想を、次の2つの考え方を含めて考える必要があります。

 ・臥位での機能訓練→臥位での動作

 ・臥位での機能訓練→座位や立位での動作

 学習という視点でも、”優しい動作から難しい動作へ:臥位→座位→立位へ”とつながっていきますので、セラピストは今のことだけでなく先のことも想定して訓練します。逆に言えば、先のことへのつながりを意識さえしていれば、難しいことから行う必要はないとも言えます。

 今のリハビリの時代の流れは、実際の動作を行うことで動作の安定を図ることに傾きがちですが、次の動作を想定して機能訓練することによって、実際の動作をスムーズに行うことができるのです。

 

 先を想定した臥位機能訓練の具体例

 臥位での下肢の機能訓練で、具体的には、以下のものがあります。(難易度順に書いています。)

下肢屈曲位での股関節内外旋の運動  →座位・立位での股関節内外旋中間位保持

下肢伸展位での股関節伸展の抵抗運動 →歩行の立脚初期

下肢伸展位での股関節外転の抵抗運動 →歩行の立脚中期 

下肢屈曲位から伸展位への抵抗運動  →立ち上がりや階段昇降時

 

 まとめ

 臥位での機能訓練は、臥位での動作だけでなく、座位や立位での動作を意識して行う側面もあります。常に先を見通しながら訓練を進める必要があります。

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